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防災備蓄品は事前に使用方法を知っていることで、はじめて本当の意味での備えとなります。例えば、ヘルメットも正しい被り方を知らないと、100%の効果が期待できませんし、簡易トイレも使用方法がわからなければ、あっという間にトイレは不衛生な状態になってしまいます。

弊社ではこれまで、備蓄品の購入に関するお手伝いの他、防災力の向上に向けた様々なコンサルティングを行ってまいりましたが、東日本大震災から10年が経過し、今、防災備蓄について改めて見直しをする時期であると考えています。

その理由は、新型コロナウィルスの感染拡大。
例えば、避難所は三密を回避する必要がありますし、オフィスの分散化やテレワークの推進により、在宅の勤務時間中の被災についても考えておく必要があります。

防災備蓄の見直しのポイントについて、順にご説明いたします。

1.2011年以後も、毎年のように続く災害

東日本大災害から10年が経過したが、その後も毎年のように大きな災害が発生。
大地震、台風の大型化、集中豪雨、河川の氾濫、広範囲の停電など、これまでの想定を上回る被害が発生し、その度に新たな課題が浮き彫りとなり、防災備蓄も継続的な見直しが重要であることが、再認識されました。

2.行政が企業に防災備蓄を求めてきたわけ

現在、企業や学校で3日分の防災備蓄を行っていますが、元々は首都直下地震を想定し、国や東京都で以前から検討されてきたものでした。

しかし、2011年3月11日の東日本大震災により、首都圏に515万人の帰宅困難者が発生し、災害現場に向かう緊急車両の通行が妨げられるという事態が現実のものとなりました。

行政の防災体制は、そこに住む住民の命を守る為のものなので、人数の割り出しや被害想定は、住民の数がベースとなっています。住民の数の数倍もの人が集中するターミナルのあるエリアでは、路上に溢れた人に対処することができないのです。

2013年4月1日「東京都帰宅困難者対策条例」が施行され、企業や学校は、従業員・生徒が社内・学内に安全に留まるため、3日分の水食料の備蓄を整えるように求められることになりました。

【事業者の取り組み】
      ①従業員の一斉帰宅の抑制
      ②従業員との連絡手段の確保など事前準備
      ③駅などにおける利用者の保護

3.企業防災の見直しのポイント

この10年の間に災害は大型化し、水害、大規模停電など、これまで想定していなかった様々な新たな課題が浮き彫りとなりました。
そこに2020年にコロナ禍が加わり、日常のあり方そのものが根底から変化することとなったのです。

【見直しのポイント】
      ①備えを見直し、想定外を想定内にする
      ②備えたものを、使えるように訓練する
      ③専門サポートサービスの活用

それぞれについて、以下でご説明します。

4.備えを見直し、想定外を想定内にする

備えを見直し、想定外を想定内にする

上の図1を見てください。
図の灰色の部分が現在できている防災対策です。縦軸は防災力。上に行くほど防災力が上がります。横軸は災害の想定範囲。横に行くほど想定範囲が広がります。

災害がある度に、想定外だったという言葉を聞きますが、想定外の事に対処するには、莫大なエレルギーが必要となり、人もコストも大きな負担となります。

想定内の拡大=図で言うと右側に灰色の部分を広げると言うことです。想定外を想定内にしておくことで、すぐに対処できる範囲が広がるのです。

2020年は、新型コロナウイルスへの対応という想定外を想定内にすることが必要となりました。
2009年の鳥インフルエンザ以降、防護服などを備蓄した企業も多いと思いますが、今後は、備蓄品の中に、マスクや消毒液やニトリル手袋などが必須アイテムとして加わって行くと思われます。

5.備えたものを使えるように訓練する

備えを見直し、想定外を想定内にする

次に図2を見てください。
図の灰色の部分を上に広げる。これは訓練により実践力を上げると言うことです。

訓練の内容については、次の6で詳しくご説明しますが、防災備蓄品を実際に使えるようにする訓練です。

4で説明した備えを見直し想定外にするというベクトルと、この実践力の向上という2つのベクトルが合わさることで、下の図3のように、緊急対応可能な領域が大きく広がります。
これにより力技の緊急対応をする必要がなくなり、その分のリソースを安全確保や早期復旧に振り向けることができるのです。

6.専門のサポートサービスを活用する

どこの企業も学校も、1年に1回避難訓練をしていると思います。
これは、消防署の指導の元に行うもので、火災の際に少しでも早く逃げる為の訓練です。
これはこれで、しっかりと身につけていただく必要があります。
まずは自分の命を守らなくては、同僚を助けることができないからです。

弊社が行う防災訓練は、防災備蓄品を実際に使えるようにする訓練です。

  • ヘルメットの被り方
  • 救助工具の使い方
  • 階段用車椅子の使い方
  • I P無線機の使い方
  • 発電機の使い方
  • アルファ米の調理の仕方
  • 簡易トイレの使い方

持っている備蓄品が使えなければ、備えていないのと同じです。
使い方の訓練や体験により、従業員の防災意識の高まりも期待できます。

専門のサポートサービスを活用する

企業では、限られたリソースの中、防災と言う業務だけに人員を割くことはできないので、社内に十分な知見が無いことが一般的です。

弊社では、備蓄品の管理からこうした訓練のお手伝いまでの防災に関わるコンサルティングを、業務委託契約という形で長期的にサポートさせていただくことも可能です。

ぜひ、長期的な視点で、防災備蓄を見直されてはいかがでしょうか。

事例4【コンサルティング】の記事はこちらから